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東芝の存続が? [経済]

  <東芝>「もはや経営危機」自己資本6割減の衝撃

東芝.jpeg
http://image.search.yahoo.co.jp/より引用



険しい表情で会見に臨む東芝の室町正志社長



 2015年大みそかまであと10日と迫った12月21日月曜日。

東京株式市場は米国の9年半ぶりの利上げや原油価格下落などの

不安要因が重なり、多くの銘柄が下落する展開で始まった。

 なかでも東芝の株価は下げ幅が大きかった。

一時は前週末終値比10%を超す大幅安となり、

この日の終値は同27円70銭安の254円80銭だった。

5月に不正会計が表面化する前の株価は500円前後だったから、ほぼ半値水準だ。

 東芝の株価急落には理由があった。新聞各紙が前週末、

東芝が21日にもリストラ策を発表する。

16年3月期決算は約5000億円の最終赤字になる」

と相次いで報じていたからだ。

 この日午後5時20分、

東京都港区の東芝本社の大会議室に室町正志社長が姿を見せ、

年間で1万600人にのぼる人員削減を柱とするリストラ策を発表した。

同時に16年3月期の業績予想も公表した。

最終(当期)損益は過去最悪の5500億円の赤字。

ほぼ各紙の報道どおりだった。

 ■自己資本が一気に6割も減少

 この記者会見は、東芝の問題が単なる「不正会計」から、

「経営危機」という別次元の段階に入った象徴的なものだった。

それほど今回の巨額の赤字は衝撃的だった。

なぜか。東芝の自己資本が急激に減少するからである。

 東芝のリストラ策の骨格は次の通りだ。

家電部門と本社部門で早期退職の募集を中心に約7800人を削減し、

今年度の削減規模を1万600人とする▼テレビ事業は自社生産から撤退し、

インドネシア工場を売却する▼冷蔵庫、洗濯機など

「白物家電」の事業とパソコン事業は他社との統合など再編を検討する

▼家電の開発拠点である青梅事業所を閉鎖、売却する。

 国内で新たにリストラの対象になるのは5300人。

配置転換はほんの一部で、大半が早期退職になりそうだ。

募集対象は40歳以上で、かつ勤続10年以上の社員だ。

16年2月をめどに募集を始め、3月末までに退職する。

通常の退職金に特別退職金を加算し、希望者に対して再就職支援も行うという。
 ■繰り延べ税金資産の取り崩しが影響

 リストラは、赤字部門の「出血」を抑え、

来年以降の収益回復につなげる狙いだ。

人員削減や拠点の統廃合には一時的に多額の費用がかかるため、

ある程度の赤字は想定されていた。

だが、5500億円というのは予測を大きく超えた。

リストラの直接的な費用に加え、

利益があがることを前提に積み上げた資産である

「繰り延べ税金資産」を取り崩すことが大きかった。

 繰り延べ税金資産の取り崩しによる赤字額は2600億円。

この影響で、全体の赤字額が2倍近くに膨らんだのだ。

 日本の大手電機各社はこの十数年、家電や半導体部門で韓国や台湾、

中国など新興国のメーカーの激しい追い上げを受け、

人員整理や事業の統廃合などリストラを急いだ。

ところが東芝は構造改革を先送りしてきた。

 「なぜリストラが遅れたのか」。

この日の会見で記者から質問された室町社長は

「利益至上主義に走り、構造改革が後手に回った。

もう少し早く対策を取っていれば、

これほど大きな痛みになっていなかったかもしれない」と苦渋の表情を浮かべた。

 東芝はこうしたリストラの結果、自己資本が大きく減少する。

不正会計発覚前の15年3月末に自己資本は1兆840億円あった。

それが16年3月末に4300億円になる。1年で6割の大幅減だ。

 「完全に過去と決別した構造改革を実現するつもりだ。

それが実現しなければ、東芝の再生の道筋は閉ざされる」

 室町社長の言葉通り、東芝は土俵際に追い詰められた。

その東芝の状況を、21日の株価急落が写し出していた。

 だが、21日に東芝が発表したリストラ策は、

子会社の米原子力大手ウェスチングハウスについては一切触れていない。

 ウェスチングハウスは単体で巨額の損失を計上し、

東芝は連結決算にその損失を反映していない。

ウェスチングハウス単体で計上している資産である「のれん」に比べ、

東芝が計上している資産である「のれん」は膨らんだままだ。

この間のウェスチングハウスの経営悪化を反映していないからだ。

その差は1613億円ある。

 ■すばり「債務超過」を懸念する質問も

 9月末の株主総会で、東芝の取締役の過半数が社外取締役になった。

東芝は外部の目にさらされている。

経営陣だけに通用した常識はもはや通らなくなっている。

ウェスチングハウス単体で計上している損失は、

東芝の連結決算に反映される可能性が十分にある。

 ただ、それによって東芝の財布が底をついてしまう恐れがある。

21日の記者会見でも、その点を突いた質問が出た。

「東芝は今、東京証券取引所で特設注意市場銘柄になっている。

万が一、東芝が債務超過になったときに、どうなるのか」

 この質問者は直接聞かなかったが、債務超過になった時点で、

上場が廃止される恐れはないのか、という疑問だ。

東芝の財務担当役員は、この質問を

「債務超過になったときに、銀行との融資条項に抵触しないか」

という少し別の意味に受け取ったようだった。

そして、「極端なことが起これば、条項に抵触することはある」と答えた。

 このやりとりを聞いていた私を含め、

多くの人は、東芝の債務超過は「極端なこと」ではなく、

可能性のあるリスクだと受け止めたはずだ。東芝は再建に向けた苦難の道が始まる。
毎日新聞 より引用


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